2020年05月29日

女だけの世界は、語らずとしてものを言う

私が17歳の時、(実話)
高校に通いながら、年齢を誤魔化し水商売の世界へと

住むアパートが用意され
最初の給料日まで、その日に働いた分から
食べられるだけの2000円のお金を受け取り、生活していた

お店のゆきさんと言う女性が、私をとても可愛がってくれた
右も左も分からない私に、
「前髪をあげて、顔を出しなさい」
「誰よりも早くお店に来て、花の水かえをし
先輩方に挨拶をしなさい」

5部屋の広い個室があり、
高価で大きな花瓶の水かえは、とても重く大変だった

ゆきさんが珍しく私に頼みがあると言う
「付いてきてほしい」
「ただ、黙って横に座っていればいい」

そう言って、
客が10人ほど座れるスナックに連れて行った
ママさんが一人いて、

ゆきさんは、水割りとカラオケを頼み
歌い終わると、グラスに半分ほど残った水割りを

ママさんの顔をめがけてかけたのだ

すぅーと立って
「帰るので支払いを…」

ママさんは「結構です」と…
代金はいらないと言う
「ありがとうございました」と頭を下げて私達を見送った

ママさんに失礼はなく、ゆきさんの歌を黙って聞いていた

帰りしな、「男の浮気相手」と…ボソッと言った

まさか男の浮気相手のスナックに乗り込んでいたとは…

同じ夜の女としての質とやらを自分の目で確かめにゆき

ママさんが、
ゆきさんを男の女と気づき、
少しでも申し訳なさそうな顔を見せたなら、
そのまま帰ろうと思っていたと

だが、スナックのママさんは気づきながらも
「私は、あんたの男と寝た女よ」と言わんばかりの
勝ち誇ったような顔に見えたのだとか

水割りをかけたのは、
「私の男に手を出すな」と…
それに納得したママさんは、代金はいらないと言ったのだ

お水の女は気性も荒く、女同士の喧嘩
ましてや男の奪い合いとなると、激しく相手を
罵倒しあうのかと思っていた

語らずとしてものを言う
そのやり取りに圧倒されながら、その日は
自らの場へと戻り、馬鹿な女で
可愛い女を演じる為の、赤いドレスを着た

一年後、
ゆきさんは田舎から千葉に行き、自分のお店を出した
(女の子を数十人も雇うお店なのだとか)
ゆきさんは当時21歳だった

それからしばらくして、
私の誕生日の日に、宅急便が届いた
ダイヤの指輪が入っており、ゆきさんからの手紙には
「もしも生きるのに困った時は、私が面倒をみるから
いつでもおいで」と書かれていた

「前髪をあげて、顔を出しなさい」
「誰よりも早くお店に来て、花の水かえをし、
先輩方に挨拶をしなさい」

最初のやり方を間違えれば、女同士の蹴落とし合いの
場にもなり、
先輩に可愛がられない娘は、客にも好かれず

やっていけない世界だという事を、
少しだけ成長した私は、ゆきさんのあの時の
あの言葉の意味を知った

知る頃には私は、稼げる女になっていた
posted by 管理人 at 02:18| Comment(1) | その他の話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
めちゃくちゃ深い!
深すぎるよ(>д<*)
深海かよ。
いい話だなぁ、おい!
Posted by まぁ帽 at 2020年05月29日 09:34
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